メリディアンについて

マーケティング ミックス モデリング(MMM)は、マーケティング キャンペーンとアクティビティの影響を測定して予算プランの判断材料にして、メディア全体の効果を高める統計分析手法です。MMM は、集計データを使用することで、マーケティング チャネル全体の効果を測定します。収益やその他の重要業績評価指標(KPI)に影響を与えるマーケティング以外の要因も考慮されます。MMM はプライバシーに配慮しており、Cookie やユーザーレベルの情報は使用しません。

Meridian は、広告主様が独自の社内モデルを設定、実行できる MMM フレームワークです。Meridian は、次のような重要な質問に答えるのに役立ちます。

  • マーケティング チャネルが収益やその他の KPI にどの程度貢献したか?
  • マーケティングの費用対効果(ROI1)はどれくらいか?
  • 今後のマーケティング予算の配分を最適化するにはどうすればよいか?

Meridian は、ベイズの因果推論に基づく、詳細なカスタマイズが可能なモデリング フレームワークです。大規模な地域レベルのデータを処理できるため、そうしたデータが利用可能な場合に推奨されますが、全国レベルのモデリングにも使用できます。Meridian は、マーケティング予算とプランニングに関するビジネス上の意思決定に役立つ明確な分析情報と可視化データを提供します。さらに、Meridian には、テストやその他の事前情報を MMM の調整に活かしたり、リーチとフリークエンシーのデータを活用して広告のフリークエンシー目標設定を最適化したりすることもできます。

主な機能

Meridian は、モデリングと最適化の手法を提供することで、主要な MMM ユースケースすべてに対応します。Meridian の手法の詳細については、モデルの仕様Meridian モデルのセクションをご覧ください。

主な機能は次のとおりです。

  • 地域レベルの階層型モデリング: Meridian の地域レベルの階層型モデルを使用すると、全国レベルのデータよりもマーケティング効果に関する情報がはるかに多く含まれる場合がある、地域レベルのマーケティング データを利用できます。ローカルレベルや特定地域レベルでマーケティング活動の効果を確認することもできます。階層型アプローチでは、費用対効果などの指標の信頼区間が狭くなることがよくあります。詳細については、地域レベルの階層ベイズのメディア ミックス モデリングをご覧ください。

    Meridian は、Tensorflow Probability とその XLA コンパイラを活用して、50 を超える地域と 2~3 年間の週次データを備えた完全なベイジアン モデルをサポートしています。Google Colab Pro+ などのツールを使用して利用できる GPU ハードウェアを使用すると、速度のパフォーマンスをさらに最適化できます。

    地域レベルのデータが利用できない場合は、標準の全国レベルのアプローチも利用できます。

  • メディアのパフォーマンスに関する事前知識を組み込む: Meridian のベイジアン モデルでは、費用対効果の事前分布を使用して、メディアのパフォーマンスに関する既存知識を組み込むことができます。このモデルでは、費用対効果は任意の事前分布を取得するモデル パラメータです。費用対効果の事前情報をモデル パラメータに変換するために追加の計算は必要ありません。知識は、過去のテスト、過去の MMM の結果、業界の専門知識、業界のベンチマークなど、利用可能なあらゆるソースから得ることができます。

    ベイズ手法は、事前分布が事後分布に与える影響を制御できるため、柔軟性があります。現在のデータのシグナルが弱い場合は、事前分布を使用してパラメータを推定できます。Meridian は、すべてのモデル パラメータ、費用対効果、限界費用対効果の不確実性を定量化します。詳しくは、ベイズ事前分布を使用したメディア ミックス モデルの調整をご覧ください。

  • メディアの飽和と遅延効果を考慮する: 有料メディアとオーガニック メディアの飽和と遅延効果は、パラメータ変換関数を使用してモデル化されます。飽和は、限界収益率の低下を示す Hill 関数を使用してモデル化されます。遅延効果は、Adstock 関数と幾何級数的減衰率を使用してモデル化されます。Meridian は、ベイズのマルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)サンプリング手法を使用して、これらの変換パラメータを含むすべてのモデル パラメータを同時に推定します。詳しくは、キャリーオーバー効果と形状効果を考慮したメディア ミックス モデリングのためのベイズ手法をご覧ください。

  • 任意でリーチとフリークエンシーのデータを使用し、追加の分析情報を取得: Meridian では、インプレッションに加えて、リーチとフリークエンシーのデータもモデル入力として使用し、さらに分析情報を得ることもできます。リーチは各期間内に広告を表示したユニーク ユーザーの数で、フリークエンシーは、1 人のユーザーに広告を表示した回数の平均値です。これにより、費用の変更に伴って各メディア チャネルのパフォーマンスがどのように変化するかを、より正確に予測できます。詳細については、リーチとフリークエンシーのデータを組み込んだ階層ベイズのメディア ミックス モデルをご覧ください。

  • 下流ファネルのチャネル(有料検索など)のモデリング: Meridian は、合理的な意思決定をサポートするために、因果推論理論に基づいて設計されています。有効な因果推論に必要なモデルの仮定は完全に透明化されています。具体的には、Meridian では、有料検索の効果を測定する際に、Google 検索ボリューム(GQV)をコントロール変数として使用できるオプションが用意されています。

  • メディア予算の最適化: 最適化フェーズでは、全体的な予算に基づいて、チャネル全体の最適な予算配分を決定します。また、広告掲載の目標に基づいて最適な全体予算を提案するオプションもあるほか、リーチとフリークエンシーのデータがあるすべてのチャネルを対象に、フリークエンシーの最適化も行えます。

  • 「What-if」シナリオを使用した推定: 適合モデルを使用すると、特定のチャネルでの広告費用の増減や、チャネル間での予算配分の調整など、仮定としたさまざまなメディア シナリオで、費用対効果がどうなっていたかを推定できます。

  • モデルの適合度の評価とレポート: Meridian では、サンプル内とサンプル外の両方で、モデル適合度の統計データを確認できます。そのデータを使用して、事前分布やパラメータ化など、さまざまなモデル構成を比較できます。

  • メディア以外の介入群変数の追加(省略可): 価格やプロモーションの変更など、メディア以外の介入群変数を組み込んで、メディア以外のマーケティング アクションの効果を推定することもできます。


  1. このドキュメントでは、「費用対効果」と「増分広告費用対効果」が同義で使用されています。どちらも、投資収益率の増分を意味します。